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<誌上セミナー>USCPAその魅力と将来性

TAC NEWS 2007年12月号

That's U.S.CPA
最近何かと話題のU.S.CPAですが、どのような資格なのか、また日本でどのように評価されるのか分からない方が多いと思います。今回は、TAC、U.S.CPA講座の主任講師である、杉浦秀樹先生に昨今の日米をとりまく会計・監査事情について、またU.S.CPAという資格の魅力について伺いました。

米国公認会計士その魅力と将来性
その2 期待される米国公認会計士
TAC米国公認会計士講座 主任講師  杉浦 秀樹

<前号のあらすじ>
日米の会計・監査事情
(1) 日米ともに「粉飾決算事件」が、会計・監査制度の見直しと規制強化の契機となった。
(2) 日本の大手監査法人はビッグ4(世界4大会計事務所)のメンバーファームであり、世界標準であるビッグ4の監査手法に基づいて監査業務を提供している。
(3) アメリカの財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)は、米国会計基準(USGAAP)と国際財務報告基準(IFRS)を今年末までに統一する統合プロジェクトを進めている。
(4) 会計基準の整備が遅れていた日本でも、企業会計基準委員会(ASBJ)が、現在の会計基準と国際財務報告基準(IFRS)の重要な差異を2008年末までに解消するコンバージェンス(共通化)作業を急ピッチで進めている。
(5) 米国公認会計士試験の学習をすることによって、世界最先端の会計・監査、税務、ビジネス法その他の専門知識を身に付けることができる。


1.粉飾決算事件後の会計士業界
 前号で日米の経済界を激震させた粉飾決算事件について述べたが、監査人である会計士が粉飾を見逃した要因の1つとして、クライア ントとの不適切な関係が指摘された。事件の反省から、会計事務所は今、職業倫理の確立と独立性の強化に努めている。公正な第三者の立場から財務報告書の適正性を判断し、専門家としての意見表明を行う監査業務において、独立性はも っとも重要な資格要件である。

 日米の大手会計事務所は、規制法令(アメリカではサ ーベ ンス・オクスリ ー法(SOX法)を含む証券諸法等、日本では会社法および金融商品取引法等)や公認会計士協会が制定した倫理規程(アメリカではAICPAの会計士行動規程(Code of Professional Conduct)、日本ではJICPAの倫理規則)を順守するだけでなく、事務所独自に倫理規程や具体的な行動指針を作成し、全スタ ッフに順守義務を課している。外部の有識者を含むコ ンプライア ンス委員会を設け、業務に関連する法的環境の整理・スタ ッフへの周知に努める事務所もある。

 職業倫理の確立・独立性の強化とともに、会計事務所が信頼を得るためのキ ーワ ードとなるのが品質管理(QC)である。大手会計事務所は、世界中のクライア ントに高水準かつ均質のサ ービスを提供しなければならない。たとえば国内大手監査法人の監査業務では、監査契約の締結・監査計画の策定から監査意見表明までの全てのプロセスを対象に、専従の品質管理部門スタ ッフが品質管理レビ ュ ーを実施している。このレビ ュ ーは、それぞれが提携するビ ッグ4が行う品質管理レビ ュ ーと連携しながら毎年定期的に実施される。つまり、監査業務だけでなく監査業務の品質管理も、ビ ッグ4が開発・採用している手法に基づいて行われているのである。


2.会計士業務の劇的拡大
 大企業が作成する財務報告書の監査証明業務だけが会計士の仕事ではない。事業組織とその活動の多様化、複雑化、高度化、そしてグロ ーバル化が加速する中、会計事務所に対するニ ーズもこれまでにない広がりを見せている。会計士の業務範囲が、加速度的な拡大を続けているのである。

 たとえば法定監査の対象は、民間企業だけでなく、国立大学法人、独立行政法人、地方公共団体、学校法人、労働組合などに及び、任意監査の対象も、医療法人、公益法人、社会福祉法人、宗教法人など実に様々な業種・団体に及 んでいる。もちろ ん英文財務諸表監査や最近話題の内部統制監査も重要な業務である。

 監査以外の業務で急速に拡大しているのが、トラ ンザクシ ョ ン・サ ービスである。M&A(合併・買収)、リストラクチ ャリ ング(事業の再構築)、IPO(新規株式公開)など企業の重要な局面において的確なアドバイスとソリ ュ ーシ ョ ンを提供する業務である。M&Aではフ ィジビリテ ィ・レビ ュ ー(実現可能性の調査)や企業価値評価などを実施し、リストラクチ ャリ ングでは資金計画や収益力強化・経費削減プラ ンを策定する。またIPOでは、公開申請会社の問題点の検出・改善点の提示を行い、公開準備作業を進める。会計事務所が長年培 ってきたナレ ッジを結集し、各ビジネスシ ー ンにおいて最良のソリ ュ ーシ ョ ンを提供するのである。ビ ッグ4の1つであるア ー ンスト ア ンド ヤ ングは、トラ ンザクシ ョ ンスタ ッフとして世界80か国に5千人を超えるプロを擁する。ほかにもリスク管理、CSR(企業の社会的責任)、環境マネジメ ント、コ ンプライア ンス(法令順守)など、会計士が活躍できるフ ィ ールドは劇的に広が っている。


3.期待される米国公認会計士
 会計士の業務範囲の拡大により、現在、大手会計事務所は一様に人手不足に陥 っている。英語やIT関連など得意なスキルと強い意欲があれば、大手会計事務所への就職の可能性がグ ッと高まる。
「国際的なM&A、米SOX法やJ-SOX法に基づく内部統制、外資系企業の監査、移転価格ほか国際税務コ ンサルテ ィ ングなど、U.S.CPAの活躍の舞台は今大きく広が っています。TACでし っかり勉強して米国公認会計士試験に合格し、ご自分がやりたいこととゴ ールを見つけ、それをイ ンタビ ュ ーで積極的にアピ ールしてください。入所後は、専門別・階層別の研修制度、OJT(オ ンザジ ョブ・トレ ーニ ング)、さらには個人別のカウ ンセリ ング制度もありますので、飛躍的なスキルア ップを図ることができます。やる気のある方、大歓迎です。」(新日本監査法人 代表社員・上野光正氏)

 前号で述べたとおり、米国公認会計士試験の学習をするということは、世界最先端の会計・監査、税務、ビジネス法その他の専門知識を身に付けることができるということである。その合格を勝ち取 って勇躍大手会計事務所への入所を果たし、さらに最高水準の環境の中で研鑽を積むことは、ビジネスの世界で自己実現を図るためのも っとも効率的な戦術の1つとなるであろう。 (了)


杉浦 秀樹 【執筆者紹介】
杉浦 秀樹(すぎうら ひでき)
早稲田大学大学院修士課程(商学研究科)修了、中央大学(商学部)・早稲田大学(法学部)卒。アーンスト アンド ヤング会計事務所(Ernst & Young LLP)サンフランシスコ事務所勤務、産能短期大学非常勤講師などを経て、現在、株式会社サンケイ杉浦物産・代表取締役、株式会社サンケイ杉浦商事・取締役、株式会社ドゥミルアン(DEUX MILLE UN)・取締役、TAC米国公認会計士講座・主任講師
〈主な著書〉
『米国ビジネス法』(中央経済社・広告の書)、『アメリカの財務会計』(中央経済社)、『アメリカのビジネスロー』(中央経済社)、『新版 アメリカの財務会計』(中央経済社)、『U.S.CPAフラッシュカード−ビジネスロー』(佐藤武彦氏と共著/TAC出版)、現在、『米国ビジネス法入門』(仮称)執筆中(2008年1月出版予定)。


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